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【実体験】C63 …
はじめに
メルセデスAMG C63 S E Performance(F1 Edition含む)は、ハイパフォーマンスPHEVとして注目を集めています。しかし、購入後しばらく経ってから「駐車中にバッテリーがどんどん減る」「充電しても翌朝残量が減っている」といった声が少なくありません。
筆者も同様のトラブルを経験しました。バッテリー交換後にも再発し、原因が分からず困惑。最終的にディーラー診断によって、ドアロックシステムの不具合がスリープモード遷移を妨げていたことが判明しました。この記事では、その経緯と仕組み、そして根本原因の詳細を解説します。
症状の概要:バッテリー交換後も減り続ける異常
ある日、PHEV充電をした直後に「充電スタート/ストップの通知が頻発」。翌朝、Mercedes meアプリでバッテリー残量を確認すると、1時間あたり数%ずつ減少していました。
ディーラーで12Vバッテリーの交換・制御ソフトの更新を受け、一時的には改善。しかし、数日後に再発。リモート操作を一度でも行うと、アプリ更新がリアルタイム化し、SOC(State of Charge)がどんどん低下していく――そんな状態に。
原因を追う中で浮かび上がった「ドラレコ常時稼働説」
多くのオーナーがまず疑うのが「ドライブレコーダーの常時通電」です。
実際、筆者も純正ドラレコが駐車中に動作し続けているように見えました。アプリ更新が止まらず、スリープしない=ドラレコが犯人だと考えるのは自然です。
しかし、暗電流をディーラーで計測した結果、ドラレコの電流消費はごくわずか。ドラレコそのものは原因ではなかったのです。
真の原因:ドアロックシステムの制御不具合
診断の結果、ドアロックシステムの一部が正常にスリープ信号を送れていなかったことが判明しました。
つまり車両は「ロック完了=スリープモード移行」の指令を待ったまま眠れず、OCU(通信モジュール)やDC-DCコンバーター、MBUXなどが常時起動状態に。結果的に暗電流が高止まりし、駐車中に電力を消費し続けていたのです。
この状態では、純正ドラレコやアプリ更新もスリープ信号を受け取れず、常時ONのまま。見た目上「ドラレコが電力を食っているように見える」だけで、実際にはスリープ遷移を妨げていたドアロック系の制御不具合が根本原因でした。
ソフトウェアアップデートでの解決
ディーラーによる診断後、「ドアロックシステムとスリープ制御を含むソフトウェアアップデート」を実施。
これにより、ロック信号からスリープモードへの遷移が正常化し、暗電流も大幅に低下。
アプリ更新も10〜20分間隔に戻り、SOCの夜間低下は1時間あたり1%未満まで改善しました。
つまり、今回のバッテリー減少問題はハードウェア(バッテリー)ではなく、ソフトウェアによる制御不具合だったのです。
PHEV特有の落とし穴:スリープできない車は“寝不足”状態
PHEVやE PERFORMANCE系は、高電圧バッテリーのほかに12V補機バッテリーを持ち、通信・制御・照明などすべてのECUを支えています。
スリープモードに入れないと、これらのECUが常時起きたままとなり、12Vバッテリーが数時間で数%ずつ消耗します。
特に近年のメルセデスは、Mercedes me接続やGuard360°など通信系機能が常駐しているため、スリープロジックが一部でも破綻すると連鎖的に放電ループが起こります。
今回の教訓:症状の“見かけ”に惑わされないこと
筆者のように、バッテリー交換直後にも減り続ける場合、「電装品の常時通電」ではなく「スリープ制御の異常」を疑うべきです。
特に以下のような症状がある場合は要注意です。
| サイン | 可能性の高い原因 |
|---|---|
| リモート操作後にSOCが減少 | スリープ移行不良/通信モジュール起床状態 |
| アプリ更新が毎分ごと | OCUが寝ていない |
| 駐車中の純正ドラレコが常時録画 | スリープ信号が届いていない |
| バッテリー交換後も再発 | ハードではなくソフト側不具合 |
対策と予防策
- ドアロック操作後に必ずダブルロックする
→ スリープ移行を確実に。 - リモート操作をしたら、そのまま10分以上放置して寝かせる
→ 通信系モジュールの再スリープを促す。 - アプリの更新間隔が毎分になったら即リブート
→ 電源ボタン+音量長押しでMBUX再起動。 - 定期的にソフトウェアアップデートを確認
→ OTAやディーラーでのアップデートで制御改善を反映。
まとめ:真の原因は「ドアロックシステム」だった
バッテリーが減り続けるという深刻なトラブルの裏に、まさかのドアロック制御の不具合が隠れていた――。
見た目上はドラレコやアプリ通信が原因に見えたものの、根本的には車がスリープできず“寝不足”になっていたのです。
幸い、ソフトウェアアップデートでこの問題は解消しました。
C63 S E Performanceをはじめ、PHEVモデルで同様の症状に悩むオーナーは、「スリープできていないかもしれない」という視点でディーラーに相談することが最短ルートです。


